あらすじ 舞台は中国唐の時代。主人公の李徴は科挙試験に合格する秀才だったが、詩人を志して官職を辞める。経済的困窮からふたたび下級官史の職に就くが、プライドが高く発狂して虎になってしまう。かつての友人・袁傪が山道を通ったとき、虎に襲われかける…
『マナーはいらない 小説の書きかた講座』は、小説家・三浦しをんによる小説の書き方を紐解く一冊だ。 かっちりと小説の書き方を説明していくというよりは、エッセイと小説の書き方本の中間のような読み口だった。 三浦しをんファンは読まない手はない。彼女…
『ラストナイト・イン・ソーホー』を観た。というか、観たのは12月でブログもすぐに書いたのだけど下書きに入れたまま忘れていた。もう映画館の上映終わってそう。 あらすじ ファッションデザイナーを目指し服飾学校に通うエロイーズは、寮に馴染めずに間借…
2021年に読んで良かった本を5冊紹介します。書こう書こうと思いつつ、いつの間にか年が明けていた・・・・ 2021年は51冊読みました。冊数は去年とほとんど変わらず。だいたい寝る前に1時間ちょっと読むルーティーンなのでこんなものかな。 今年読んだという括り…
『フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義』は、食におけるテクノロジーの現在と未来を論じる本だ。もとは日経で連載されていた記事を再編集したものらしく、わりとビジネス的な視点が強い。今現在、培養肉や植物性の肉が世界でどれくらい…
『文字禍・牛人』は、中島敦による6篇を収録した短編集だ。表題の「文字禍」「牛人」のほかに、「狐憑」「木乃伊」「虎狩」「斗南先生」が収録されている。 関係ないが、ここ一年くらい某バレー漫画にハマっている。基本的にずっとバレーをしているだけなの…
『人新世の「資本論」』は、マルクスの文献から、現代に通用する資本主義以外の新たな選択肢を追求する本だ。マルクスといえば資本論が有名だが、資本論だけでなく新しく発見された文献も含めて語ることで、新たなマルクス像の提示を試みる本でもある。著者は…
少女たちから「おじさん」が見えなくなったら、社会はどうなるのか?松田青子による『持続可能な魂の利用』は、ある日突然少女たちの目の前から「おじさん」が消えた世界を描いた小説だ。 本書では、「おじさん」が見えなくなった未来で、「おじさん」が見え…
『坊っちゃん』は、夏目漱石による二作目の小説だ。名の知られた作品が多い彼の著作の中でも、おそらく一、ニを争う有名な作品だろう。 自分が読んだ夏目漱石の小説はこれで三冊目。『こころ』『彼岸過迄』を読んでかなり好きだと気づき、次は代表作(有名す…
『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』は、題名のとおり大学で学ぶ内容の社会学についてざっと解説する一冊だ。 以前『100分de名著』で社会学者ブルデューの『ディスタンクシオン』という本が紹介された回がとても面白くて、社会学ってどんな学問なん…
エドモン・ロスタンによる『シラノ・ド・ベルジュラック』は、1897年にパリで初演を迎え、以降現在にいたるまで世界中で上演されている戯曲である。 去年秋にシラノ・ド・ベルジュラックの作者であるロスタンを主人公にした、『シラノ・ド・ベルジュラックに…
『台湾物語』は、近現代台湾の歴史、言語、文化、宗教など、さまざまな方面から台湾を語る一冊だ。なんとなく小説っぽさもあるタイトルだけど新書の本である。 文章が固くなくて、とてもソフトな読み心地なのが印象的だった。近代中国の文学には「雑文」とい…
『彼岸過迄』は、夏目漱石の後期三部作と言われるうちの一冊だ。 実は高校を卒業したころに買ったきり、しばらく本棚の肥やしにやっていた。高校の教科書に載っていた『こころ』が好きで、別作品も読んでみようと思って買ったのだと記憶している。 しかし、…
医師・がん研究者シッダールタ・ムカジーによる『遺伝子 ──親密なる人類史』は、遺伝学がどのように発展してきたかという道筋を、著者自身の家系に潜む遺伝的な精神疾患の話を織り交ぜながらたどる一冊である。 上巻ではメンデルのエンドウマメの実験までさ…
久々にブログを開いてみたら、もう7ヶ月くらい更新してなくてびっくりした・・・・。最近書いてないなーとは思っていたけど、せいぜい3ヶ月くらいだと思っていた。時の流れが早すぎる。 ブログを書いていないあいだ何をしていたかというと、とあるバレー漫画にど…
『君の心に刻んだ名前』は、戒厳令が解かれたばかりの1980年代台湾を舞台にしたLGBTQ映画だ。日本だとNetflix配信のみだが、台湾では去年劇場公開されて国内映画の興行収入で2位にランクインしたらしい。台湾で公開された全作品含めても8位。こういう真面目…
『さんかく窓の外側は夜』を鑑賞。前に原作を読んで面白かったのと、映画のキャスティングが合ってると思って地味に楽しみにしていた。しかし観た結果は・・・・なんかぼんやりした味わいだったなあという印象。 あらすじ 書店で働く三角は、幼い頃から霊が…
脳はすこぶる快楽主義 パテカトルの万脳薬 作者:池谷 裕二 発売日: 2020/10/07 メディア: Kindle版 『脳はすこぶる快楽主義』は、東大教授で脳研究者である著者・池谷裕二が、学術論文によって発表された脳や遺伝子にまつわる科学的発見をピックアップして、…
今さらながら、2020年に読んだ52冊の中から良かった本を5つ紹介します! ジャンルさまざまで順不同に挙げていきます。 サピエンス全史 サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 作者:ユヴァル・ノア・ハラリ 発…
三が日に『新 感染半島』を鑑賞。ストーリーが重めの前作とは路線がことなり、わりとポップな仕上がりだった。ゾンビ映画好きとしてはゾンビがあまり絡んでこなくて物足りなさを感じたものの、マッドマックスばりの派手なアクションが盛りだくさんでこれぞお…
進化心理学者スティーブン・ピンカーによる『21世紀の啓蒙』は、啓蒙主義について21世紀の言葉と概念でふたたび語りなおし、社会は理性と科学によっていかに進歩を遂げてきたかを解き明かす一冊である。 上巻では、そもそも啓蒙主義とはなんなのかについて説…
2020年に劇場公開された映画の年間ベストを載せます! 今年は44本の映画を劇場で鑑賞しました。コロナの影響で都会の映画館にあまり行かなくなり、思うように劇場で鑑賞できなかった年だった。 ビックタイトルは軒並み公開延期になりましたね。4月以降に劇場…
10日ほど前にアニメーション映画『away』を鑑賞。ブログに書くタイミングを逃してしまって、スルーしようか迷ったけど良い作品だったからやっぱり残しておこう。 あらすじ ある日少年は、木の枝にパラシュートが引っかかっている状態で目覚めた。あたりを見…
『ジョゼと虎と魚たち』を鑑賞。前半と後半で評価がだいぶ変わる作品だった。前半観ているときはこれ全人類が観るべきやつでは・・・?と思うくらい良作の予感がしていたけれど、後半にかけて物語の運びかたに首をかしげる部分が出てきた。 ただ全体としては…
『菊と刀』を読んだ。アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトが日本の文化の型を分析した本で、1946年に刊行された。 ここ半年くらいは色んな国の文学や教養系の本を読むことが多かった。日本以外の各地域について読むにつれて、じゃあこれって日本では…
『燃ゆる女の肖像』を鑑賞。これはすごいものを見た・・・。数多くのモチーフ、対比が物語に織り込まれている上で、全てがバラバラになることなく繋がって意味を成している。綿密に計算された配置に圧倒されっぱなしだった。まだ2020年に観た映画ベスト10は…
1945年に刊行されたジョージ・オーウェルの小説『動物農場』を読んだ。本文が150ページちょっとしかないのに、短編小説とは思えない内容の濃密さ。読み進めるごとに真綿で首を絞められていくような苦しさがある。ハヤカワepi文庫の訳はおとぎばなし風な文体…
映画『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』を観た。いつもガラガラな近所の映画館で見たので、観客自分だけかもな〜なんて気持ちで行ったら意外と人がいてちょっと驚いた。 あらすじ 1800年代後半パリ。ほぼ無名の劇作家であるエドモン・ロスタンは、…
子どものころ、いつか魔法が使えるようになるんじゃないかと考えたことはないだろうか。そうじ用のほうきにまたがってみたり、呪文を唱えてみたりした人もいるだろう。きっと、何かしらの作品がきっかけで、自分にも魔法が使えたらいいのに、と思うようにな…
1週間以上前になるが、『ミッシング・リンク』と『魔女見習いをさがして』を二本立てで観てきた。図らずもアニメーションしばり。 製作された国や手法は違えど、どちらも人生につまづいて悩む大人が主な登場人物で、旅によって自分の進む道が見えて成長をす…