部屋の隅で映画と本

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映画『ラストナイト・イン・ソーホー』──くるくると場面が展開するアトラクションみたいな映画(ただし中身はつらい)

 

 

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『ラストナイト・イン・ソーホー』を観た。というか、観たのは12月でブログもすぐに書いたのだけど下書きに入れたまま忘れていた。もう映画館の上映終わってそう。

 

あらすじ


ファッションデザイナーを目指し服飾学校に通うエロイーズは、寮に馴染めずに間借りの屋根裏部屋で一人暮らしを始める。あるとき部屋で眠ると、60年代にタイムスリップして、歌手の夢を追いかける女性・サンディーの人生を追体験する。60年代の文化に憧れていたエロイーズはタイムスリップを楽しんでいたが、徐々に事態は変化してゆく・・・・。

 

感想

エドガー・ライト監督の作品を観たのはこれで3本目。映像と音楽の使い方が魅力的な監督ですよね。

くるくると画面が展開して、映像が押し寄せてくるような鑑賞体験だった。ディズニーテーマパークのアトラクション感がある。

インディージョーンズで上からでっかい岩が転がってきて、ワーッと避けるときみたいな疾走感。

 

内容は時代背景に誠実で、誠実な分つらい場面が多かったなという印象。

〜年代にタイムスリップする物語って、その時代を良い時代だったと捉えてノスタルジーや憧憬あふれる描き方をすることが多いように思う。

でもこの映画は一味違う。「良い時代だったよね」だけでは終わらず、悪い面もしっかり描く。

1960年代って今から60年くらい前。現在よりずっと男性優位だっただろう。そんな社会で若い女性が歌手になる夢を追いかける様子を追体験するとなったら・・・。闇はそうとうに深い。

60年代への憧れによる夢見ごごちはすぐに終わり、マネージャーを名乗る男性から搾取される場面が長いこと続く。

サンディーとエロイーズがつらいことになっていって、なかなかしんどかった。

主人公が追い詰められたときにそれでも連帯を示す相手が、この作品を通して一番心が動いたポイントかもしれない。だからこそ切なくもあった。

 

とにかく夢を追いかける人間を食いものにするヤツ絶許~。