部屋の隅で映画と本

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映画と本の感想ブログ

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2021-01-01から1年間の記事一覧

『フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義』──代替肉はどうなってゆく?

『フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義』は、食におけるテクノロジーの現在と未来を論じる本だ。もとは日経で連載されていた記事を再編集したものらしく、わりとビジネス的な視点が強い。今現在、培養肉や植物性の肉が世界でどれくらい…

『文字禍・牛人』──ハッとしてゾッとする、エンターテイメント性の高い一冊

『文字禍・牛人』は、中島敦による6篇を収録した短編集だ。表題の「文字禍」「牛人」のほかに、「狐憑」「木乃伊」「虎狩」「斗南先生」が収録されている。 関係ないが、ここ一年くらい某バレー漫画にハマっている。基本的にずっとバレーをしているだけなの…

『人新世の「資本論」』──資本主義でも社会主義でもない社会を考える

『人新世の「資本論」』は、マルクスの文献から、現代に通用する資本主義以外の新たな選択肢を追求する本だ。マルクスといえば資本論が有名だが、資本論だけでなく新しく発見された文献も含めて語ることで、新たなマルクス像の提示を試みる本でもある。著者は…

『持続可能な魂の利用』──ある日「おじさん」が見えなくなったらどうなる?

少女たちから「おじさん」が見えなくなったら、社会はどうなるのか?松田青子による『持続可能な魂の利用』は、ある日突然少女たちの目の前から「おじさん」が消えた世界を描いた小説だ。 本書では、「おじさん」が見えなくなった未来で、「おじさん」が見え…

『坊っちゃん』──勧善懲悪みの強い夏目漱石の初期作

『坊っちゃん』は、夏目漱石による二作目の小説だ。名の知られた作品が多い彼の著作の中でも、おそらく一、ニを争う有名な作品だろう。 自分が読んだ夏目漱石の小説はこれで三冊目。『こころ』『彼岸過迄』を読んでかなり好きだと気づき、次は代表作(有名す…

『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』──レジュメのような読感だが一冊目には良いかも?

『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』は、題名のとおり大学で学ぶ内容の社会学についてざっと解説する一冊だ。 以前『100分de名著』で社会学者ブルデューの『ディスタンクシオン』という本が紹介された回がとても面白くて、社会学ってどんな学問なん…

『シラノ・ド・ベルジュラック』──ラブレター代筆系物語の元祖

エドモン・ロスタンによる『シラノ・ド・ベルジュラック』は、1897年にパリで初演を迎え、以降現在にいたるまで世界中で上演されている戯曲である。 去年秋にシラノ・ド・ベルジュラックの作者であるロスタンを主人公にした、『シラノ・ド・ベルジュラックに…

『台湾物語: 「麗しの島」の過去・現在・未来』──台湾愛を感じる一冊

『台湾物語』は、近現代台湾の歴史、言語、文化、宗教など、さまざまな方面から台湾を語る一冊だ。なんとなく小説っぽさもあるタイトルだけど新書の本である。 文章が固くなくて、とてもソフトな読み心地なのが印象的だった。近代中国の文学には「雑文」とい…

『彼岸過迄』──結論が与えられない物語の美しさ

『彼岸過迄』は、夏目漱石の後期三部作と言われるうちの一冊だ。 実は高校を卒業したころに買ったきり、しばらく本棚の肥やしにやっていた。高校の教科書に載っていた『こころ』が好きで、別作品も読んでみようと思って買ったのだと記憶している。 しかし、…

『遺伝子 ──親密なる人類史』──鮮やかなストーリーテリングに引き込まれる一冊

医師・がん研究者シッダールタ・ムカジーによる『遺伝子 ──親密なる人類史』は、遺伝学がどのように発展してきたかという道筋を、著者自身の家系に潜む遺伝的な精神疾患の話を織り交ぜながらたどる一冊である。 上巻ではメンデルのエンドウマメの実験までさ…

お久しぶりの更新 アンド『華氏451度』感想

久々にブログを開いてみたら、もう7ヶ月くらい更新してなくてびっくりした・・・・。最近書いてないなーとは思っていたけど、せいぜい3ヶ月くらいだと思っていた。時の流れが早すぎる。 ブログを書いていないあいだ何をしていたかというと、とあるバレー漫画にど…

Netflix映画『君の心に刻んだ名前』感想

『君の心に刻んだ名前』は、戒厳令が解かれたばかりの1980年代台湾を舞台にしたLGBTQ映画だ。日本だとNetflix配信のみだが、台湾では去年劇場公開されて国内映画の興行収入で2位にランクインしたらしい。台湾で公開された全作品含めても8位。こういう真面目…

映画『さんかく窓の外側は夜』感想 ──映像や劇伴は良い!のに・・・

『さんかく窓の外側は夜』を鑑賞。前に原作を読んで面白かったのと、映画のキャスティングが合ってると思って地味に楽しみにしていた。しかし観た結果は・・・・なんかぼんやりした味わいだったなあという印象。 あらすじ 書店で働く三角は、幼い頃から霊が…

『脳はすこぶる快楽主義』──パクチーを美味しく感じるかは遺伝子によって決められていた?人体の不思議にせまる科学エッセイ

脳はすこぶる快楽主義 パテカトルの万脳薬 作者:池谷 裕二 発売日: 2020/10/07 メディア: Kindle版 『脳はすこぶる快楽主義』は、東大教授で脳研究者である著者・池谷裕二が、学術論文によって発表された脳や遺伝子にまつわる科学的発見をピックアップして、…

2020年に読んで良かった本ベスト5

今さらながら、2020年に読んだ52冊の中から良かった本を5つ紹介します! ジャンルさまざまで順不同に挙げていきます。 サピエンス全史 サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 作者:ユヴァル・ノア・ハラリ 発…

映画『新 感染半島』感想──新年にはマッドマックスゾンビ!

三が日に『新 感染半島』を鑑賞。ストーリーが重めの前作とは路線がことなり、わりとポップな仕上がりだった。ゾンビ映画好きとしてはゾンビがあまり絡んでこなくて物足りなさを感じたものの、マッドマックスばりの派手なアクションが盛りだくさんでこれぞお…

『21世紀の啓蒙』──啓蒙主義はいまこそ必要とされている

進化心理学者スティーブン・ピンカーによる『21世紀の啓蒙』は、啓蒙主義について21世紀の言葉と概念でふたたび語りなおし、社会は理性と科学によっていかに進歩を遂げてきたかを解き明かす一冊である。 上巻では、そもそも啓蒙主義とはなんなのかについて説…