部屋の隅で映画と本

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映画と本の感想ブログ

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2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『持続可能な魂の利用』──ある日「おじさん」が見えなくなったらどうなる?

少女たちから「おじさん」が見えなくなったら、社会はどうなるのか?松田青子による『持続可能な魂の利用』は、ある日突然少女たちの目の前から「おじさん」が消えた世界を描いた小説だ。 本書では、「おじさん」が見えなくなった未来で、「おじさん」が見え…

『坊っちゃん』──勧善懲悪みの強い夏目漱石の初期作

『坊っちゃん』は、夏目漱石による二作目の小説だ。名の知られた作品が多い彼の著作の中でも、おそらく一、ニを争う有名な作品だろう。 自分が読んだ夏目漱石の小説はこれで三冊目。『こころ』『彼岸過迄』を読んでかなり好きだと気づき、次は代表作(有名す…

『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』──レジュメのような読感だが一冊目には良いかも?

『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』は、題名のとおり大学で学ぶ内容の社会学についてざっと解説する一冊だ。 以前『100分de名著』で社会学者ブルデューの『ディスタンクシオン』という本が紹介された回がとても面白くて、社会学ってどんな学問なん…

『シラノ・ド・ベルジュラック』──ラブレター代筆系物語の元祖

エドモン・ロスタンによる『シラノ・ド・ベルジュラック』は、1897年にパリで初演を迎え、以降現在にいたるまで世界中で上演されている戯曲である。 去年秋にシラノ・ド・ベルジュラックの作者であるロスタンを主人公にした、『シラノ・ド・ベルジュラックに…

『台湾物語: 「麗しの島」の過去・現在・未来』──台湾愛を感じる一冊

『台湾物語』は、近現代台湾の歴史、言語、文化、宗教など、さまざまな方面から台湾を語る一冊だ。なんとなく小説っぽさもあるタイトルだけど新書の本である。 文章が固くなくて、とてもソフトな読み心地なのが印象的だった。近代中国の文学には「雑文」とい…